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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
二メートルばかり、いったところで、小さな部屋に出た。部屋というよりは大きな樽の中にはいったという感じである。
曲面をもった壁は、にぶい金属的な光をもっていた。この部屋の中にはバンドのついた腰かけと、天井から吊革のようなものが、ぶら下っているだけで、外に何もない。
博士が、何かごそごそやっているうちに、先生の後で、ぎいっと音がした。ふりかえって見ると、今這いこんで来た鉄管の出口が、すっかりふさがれていた。全く妙な部屋であった。先生は博士の心をはかりかねた。
「うむ、これで安心だ。もう、大きな声を出してもいいよ」
博士の声は、いつもとは違って、たいへんやわらかに響いた。
「博士、私をこんなところへ連れて来られて、何をなさろうというのですか」
さっそく、先生はたずねた。
「おお新田。これからわしは、お前に、はじめて本心をうちあけるよ」
「えっ、本心?」
先生は驚いて博士の顔を見つめた。
本心を打明ける!――と、博士は言ったのである。
「どういうのが、博士の本心ですか」
と、新田先生は、せきこむようにして問いかえさずにはおられなかった。そう言えば、さっきから博士の態度が、いつもとは、たいへん変っている。