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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

この次によく尋ねてみることにしようと、千二は思った。

丸木のおじさんと火星の生物との話は、しばらくしてすんだらしい。丸木のおじさんは、火星語が出来るようだ。例のひゅうひゅうとしか、聞きとれない言葉である。

「おい、千二。しばらく目が廻るかも知れんが、我慢しろよ」

突然、丸木の声が聞えた。

目がまわるかもしれないが、がまんをしろと、丸木の注意である。

その言葉が終るか終らないうちに、しゅうしゅうとはげしい音が始った。蒸気がふき出すような音であった。

それと同時に、袋の中に、はいっている千二の体は、ゴム毬が転がるように、ぐるぐるまわりだした。

「わっ、目がまわる!」

目がまわって、胸が悪くなった。千二はよだれをだらだらと出した。

「丸木さん、僕は苦しいよ」

千二はとうとう悲鳴をあげた。

だが、その声は、しゅうしゅうという音にかき消されて、丸木の耳には達しなかったようである。丸木は、うんともすんとも返事をしなかった。

どうなることかと、千二は気が気ではなかった。

しかし、それはものの四、五分しかつづかなかった。しゅうしゅうという音がとまった。

「さあ、千二。外へ出るんだ」