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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「全く、驚きました。何というりっぱな発明でしょう。怪人丸木が、この十号ガスをあびてふうふうするところを、今から想像すると、とても嬉しいですな」
新田先生は、嬉しさのあまり、子供のように手を叩いたり笑ったり。
それを見ていた博士も、すこぶる満足らしかったが、
「そこで、新田。わしはこれからしばらくお前にもあわないよ」
と、博士は、とつぜん妙なことを言いだした。
「えっ、私にあわないとおっしゃると……。博士はどこへ行かれるのですか」
先生は意外に思った。
「わしは、これからひとりで閉籠って、十号ガスをうんとつくらにゃならんのじゃ。火星兵団をやっつけるには、十号ガスをよほど多量にもっていなければならんのでのう」
博士は、研究を完成した十号ガスを、これから製造にかかるというのだ。
「博士、私にお手つだいをさせて下さい」
「いや、それは困る。これはわしひとりが、たましいをうちこんで、作らんことには、いいものが出来ないのだ。誰かがそばにいると、気が散っていいものが出来ない」
「しかし博士、地球最期の日は、もうあと一週間そこそこですよ。十号ガスの製造に、あまり長く日がかかると、もう間にあいませんよ」