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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

全く不思議な出来事であった。かたい金属で出来たものが、いずれも、ぐにゃぐにゃになって、とけて流れるのであった。

「博士、えらいことになりました。一体、どうしたのでしょう」

と、新田先生が、横から心配そうにたずねた。

「うん、察するところ、火星兵団では、金属をとかす怪力線を使っているらしい。あのぴかぴか光るのがくせものだ。とにかく、ここにいては、きけんだから、ひき上げたがよい。おい、大江山隊長ざんねんだろうが、ここはひとまず、ひき上げたがいいぞ」

「そうですか。ひき上げなければなりませんか。ここまで攻めたてたのに、ざんねんだなあ」

そうこうするうちに、ありとあらゆる金属がぐにゃぐにゃになり出した。十号ガスのピストルは、ことごとく地上に落ち、帽子のきしょうも、金ボタンも、みんなとけて落ちるのであった。

「こいつはひどい」

「これでは、火星兵をなぐりつけることも出来ない」

そこで大江山隊長は、ついに心を決し、

「総員、いそぎひき上げろ!」

と、命令を出した。

一同は、その命令にしたがって、ひき上げをはじめた。すべるように、山の斜面を下りていく。蟻田博士も新田先生も大江山隊長も……。