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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「おい、早くしろということだ。ぐずぐずしているから、また宇宙艇が三隻ばかり煙になってしまったぞ。これでは約束が違う。こっちの命があぶない」
参謀は、ううんと、うなっていたが、
「よし、仕方がない。この上は兵団長に言って、少しも早く宇宙艇を全部、空に舞上らせることだ。それしか助かる方法は考えられない」
「じゃ、早く兵団長にそう言って下さい」
そこで三名は、一かたまりになって、丸木の待っているところへ、もどって来た。
参謀がそれを言うと、丸木はきげんを悪くして、
「なんだ、たったこれだけのことで兵団全体が引上げるなんて、そんな弱いことを言っちゃいかん。第一、今全部の宇宙艇が飛出せば、せっかくあそこに捕虜にしてある人間や家畜なんかが、みんな逃げてしまうじゃないか。よろしい、観測をするために、二隻だけ空中へ飛出せ」
二隻だけ飛出せ!
そういう命令だったけれど、やがて空中へ飛出した宇宙艇は二隻ではなかった。その数は、およそ三、四十隻、いずれも逃足のついた臆病連中ばかりであった。
そうでもあろう。命と頼む宇宙艇が煙となってしまい、その時、自分たちも一しょに、しゅっしゅっと煙をはいて、死んでしまったのではやりきれない。