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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

十号ガスを砲弾につめて、火星兵団を射撃する作戦は、蟻田博士が考えついたものであったが、そこまでは大成功だった。

空中に飛上った火星の宇宙艇は、その数三、四十隻であった。

高い山々にせばめられたせまい空を、この宇宙艇は、怪音を立てて飛びかうのであった。

その中の二隻は、火星兵団長の丸木から、偵察を命ぜられた宇宙艇だった。

「どこにいる? 人間隊は? そうしてガス砲隊は?」

偵察の艇は、山を一つ飛越えて、しきりにその向こうを探しまわっていた。

ところが、空中に舞上ったほかの宇宙艇は、ごうん、ごうんと、ものすごいひびきを立てて、どんどん高空へ上っていった。

これを見て、突撃隊は、さっと喜びの声をあげた。

「ああ、宇宙艇の一部が、逃出したのじゃないかな」

「おお、逃げていく。鬼のような火星兵団が、そろそろおじけづいたぞ」

ところが、偵察任務にある二隻の宇宙艇は、勇敢にもだんだん低空に舞下りて来て、どこまでも人間隊のガス砲陣地を、さぐろうという様子が見えた。

「どうしたのだろうか。人間隊は、どこにも見えないようだが……」

偵察艇の火星兵には、人間隊が見えなかった。