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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「これで、よくまあ空中衝突をしないものだなあ」

千二は、蟻田博士の操縦のうまいのにおどろいた。

しかし、これは博士の操縦のうまいだけではなく、大空艇には、引力を利用した衝突をさける装置がつけてあったのだ。

これはつまり、自分のそばへ他のものが近づいて来ると、ごくわずかであるが、二つのものの間に引力がはたらいて来る、すると、装置はその引力の方向を感じ、自動的に舵を安全な方角に向けなおすのであった。

この衝突自動防止装置のおかげで、大空艇が、どんなに相手に近づいても、けっして、衝突はおこらない仕掛になっていた。だから、この装置のおかげで、大空艇は、どんなことがあっても、衝突はしないのである。

このように、引力をうまく利用した安全な自動器械は、やはり蟻田博士の考案したものだった。博士の考えでは、別に、宇宙艇相手の場合でなくとも、これからますます空中をとぶ飛行機やロケットなどの数がふえて来ると、空中衝突事件が、ますますふえて来ることを心配し、あらかじめ、このような装置をつくっておいたのである。

だが、火星の宇宙艇の方には、そんな便利な装置はなかったのである。