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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

すると、丸木艇は、ついに決心したものとみえ、軸をたてなおすと、もうぜんと蟻田艇めがけて向かって来た。

「うむ、とうとう決戦をするかくごだな。新田、ガス砲をしっかりたのむぞ」

「大丈夫です、博士」

両艇は、だんだんと近づいた。

丸木艇のものすごいうなりが、大空艇の中まで聞えて来た。千二少年はおもわず手に汗をにぎる。

ついに、両艇は正面衝突か?

大空艇の中では、このところ、自動操縦装置を切りはなし、博士自身が操縦桿をにぎっているが、ここは、機械にまかせられない重大な瀬戸際である。

博士は、操縦桿を両手でぐっとにぎり、両脚をふんばったまま、化石の人のようであった。この際、針路をびくともかえまいと決心しているのであった。

正面衝突らしい。正面衝突をしたら、どんなことになるのであろう。

新田先生は、ここぞとガス弾をとばせば、向こうの丸木艇では、怪力線をうちかけて、ガス弾をたたきおとす。そのもうもうたる煙の中に、両艇はついに衝突かと思ったが、間一髪のところで、丸木艇は、舳をぐっと上に向けて、ひらりとかわした。すぐその下を、蟻田艇が、砲弾のように通りぬけた。

60 追撃