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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「おい千二、丸木艇は見えないか」

博士の声だ。

「丸木艇ですか。丸木艇は、まだどこにいるか、見えませんよ」

と言っている時、千二の目に赤い旗が、ちらりとうつった。

見ると、やっぱりそれは丸木艇であった。逃げる宇宙艇のため、うしろにいた丸木艇は、だんだんあとにとりのこされ、前の方に現れて来たのであった。

「いました、博士。丸木艇が、ちょうど正面にいます」

「なに、正面に……。ああ、あれか。わしにも見えたぞ」

「丸木艇は、うろうろしていますねえ」

「うん、そのとおりだ。よろしい、これから丸木艇と一騎打をやるぞ。新田も千二も、この際がんばってくれ」

「わかりました」

「やります」

「では、突進するぞ」

博士は、にわかに大空艇の速度をあげた。大急追である!

「おお、丸木艇め、へんなうごき方をしているぞ」

蟻田博士は、丸木艇をレンズの中にとらえて、こんどは、はなすまいと一生けんめいである。

丸木艇は、宇宙艇群のそとにとりのこされ、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり、逃げようか、それとも、攻めようかと、考えに苦しんでいる様子だ。

博士は、そこをすかさず、大空艇をとばして、一直線にすすんでいく。