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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「うむ、たしかに、にげるつもりだ。――おい、新田、撃方やめ。今よりわが大空艇は、丸木艇を追いかける。速度をあげるから、すこし気もちがわるくなるかもしれん。みな、しんぼうするのだぜ」
「はい。しんぼうします」
先生と千二は声を合わせて、答えたのであった。
「よろしいな。では追撃にうつる」
博士は、そう言うと、エンジンの速度をあげた。ぐぐうっと、三人のからだは、うしろへ吹きとばされるように感じた。そうして気味がわるい頭痛がして、汗が出た。大空艇は、急に速度をはやめたのである。
「にげる、にげる。丸木艇は、だんだん地球からとおざかっていくぞ」
博士は、丸木艇の航跡を測りながら、宇宙図のうえに、鉛筆でしるしをつけていく。
「地球から、とおざかっていくと言いますと、火星へ戻るつもりですかな」
と、先生が尋ねた。
「さあ。もうすこし、丸木艇の行方を見ていなければ、たしかなことは言えないが……」
「博士、さっき丸木艇が、だいぶん大きく見えだしましたが、今また、ずんずん小さくなって行きますよ」
千二が、注意した。
「うむ、そうか。丸木艇は、またにげ足を、はやめたんだな。いや、負けてはいないぞ」