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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

博士は、また速度をあげた。エンジンの音が、にわかに大きくなった。

そのとき、空が急に暗くなってきた。星がダイヤモンドのようにきらめきだした。

「先生、どうしたのでしょうか。日が暮れだしたのか、急に真暗になりましたよ」

千二が、驚いて、叫んだ。

「ふん、おかしいね。日が暮れたのにしては、おかしい。下を見ると、あのとおり、地球は、まぶしく太陽の下に光っている。なにしろ太陽も、ちゃんと、ああして空に輝いているのだからねえ」

「先生、どうしたのでしょうか、これは……」

「さあ、おかしいねえ。ここは太陽の下にいながら日が暮れ、地球の上は、ぎらぎら光って、真昼なんだ」

二人が、そんなことを言いあっていると、博士が、

「お前たちは、なにを、ばかなことを言っているのか」

「は、あまり、ふしぎですから……。まさか、まだ成層圏へ来たわけでもないでしょうと思いますから……」

「なにを言っとるか。もう、われわれは成層圏の中にいるのだ。成層圏にはいったればこそ、夕暮みたいな景色になったのだ」

「えっ、もう成層圏へ来ていたのですか。たいへん早いですなあ」

先生は、びっくりした。

「先生、成層圏て、なんのことですか」