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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

あの男はどうしたかしらん」

「へえ、ぼくたちの前に、火星へいっている人があるのですか。だれです、その人は……」

と、千二少年は、おどろいた。

「それはね、佐々刑事だよ。警視庁にいた元気のいい刑事さんだ」

と、新田先生は、説明した。

「ああ、あの人ですか。山梨県の山中で、火星の宇宙艇をうばって、逃げた人でしょう」

「そうだ、あの人だ。一時は、佐々刑事の無電がはいったものだが、このごろしばらく佐々刑事から、たよりをきかない。今どうしているのだろうか。おお、そうだ。この受信機で、佐々刑事の電波をさがしてみよう」

「それがいいですね」

と、千二も、さんせいした。

そこで、新田先生は、受話機を頭にかけ、受信機をはたらかせてみた。そうして、この前うけた時におぼえた波長のところへ、目盛盤をまわしてみた。

「どうですか。はいりますか」

「いや、きこえないね。このへんで、たしかにきこえたはずだが、今日は、ぴいっという、うなりの音も出ない」

新田先生は、さらに、増幅器を加えたりしたが、空間は、寝しずまったようにしずかであった。

「だめだねえ。とにかく、佐々刑事の電波は今出ていない」