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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

君は博士の変心が、信じられないらしいね。では、あそこまで来て、あの部屋をのぞいてごらん。すると、それがわかるから……」

「じゃあ、火星兵と博士が話をしているのが見えるところまで、つれていってください」

と、千二は、先生に言った。

「よろしい。しずかに、足音をしのばせて、こっちへ来たまえ」

先生は、せまい廊下を、先に立った。

まったく、困ったことだ。この大空艇に、火星兵がのりこんでいるなんて。

これが、地上でおこったことなら、博士と火星兵とをそこへのこして、一時にげだす手もあったが、このように、空中での出来ごとである。しかも、空中といっても、あたり前の空中ではない。このあたりは、もう空気がない空間である。外へにげだすことは出来ない。空気がないから、死んでしまうだろう。それに、第一、代りのロケットも、なんにもないのである。

千二は、先生のあとから、ついていった。そうして足音をしのばせつつ、ようやく操縦室の次の部屋まで来た。

先生は、扉の上についている小さいのぞき窓のふたを、そっと、よこにうごかした。

「ほら、まだ、三人とも、話に夢中だ。さあ、ここから、のぞいてみたまえ」