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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

千二の背のたかさでは、その窓が、すこし高すぎた。爪さきで、のび上ってみても、目の高さが、窓にとどかなかった。そこで千二は、そこにあった木箱をつんで、その上にのって、はじめて窓に目をあてることが出来た。

「あっ、ほんとうだ。あっ、火星兵だ。火星兵が二人、博士と話をしている」

千二は、おどろいて、口の中で叫んだ。

博士のそばに立っている二人の火星兵は、例のとおり、大きいあたまを、ふとい胴の上にのせていた。つまり、その胴は、地球の気圧にたえるように、つくられてあったのだ。火星兵は、しきりに、例の細い手足を、いそがしく、うごかしていた。

なにを話しているのか、さっぱりきこえない。しかし博士は、二人の火星兵を、たいへん、ていねいにとりあつかっているようすだ。

蟻田博士は、二人の火星兵と向きあって、しきりに話をつづけている。

(博士は、火星兵団と、ひそかに手をにぎり合っているのだ)

と、新田先生は、そう思いこんでいた。だから、寝ていた千二少年を、ゆりおこして、博士のこのけしからぬ有様を見せ、さいごのかくごを、きめるようにすすめたのである。

千二も、まさかと思ったが、窓の中をのぞいて見ておどろいた。