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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
千二は、火星に近づいたので、何だか、急に嬉しくなった。彼は、火星の見える窓にのびあがって、しきりに眺めている。
だが、変なことに、火星のおもては、地球のようにはっきりしない。何となく、どんよりと曇っている感じだ。
ちょうど、苔のついた古い金魚ばちの中へ、地球儀をほうりこんで、それを外から見ているような感じだ。
千二は、そのことを新田先生に話した。すると先生は、
「それはね、火星の外側は、塵のようなものが、たいへんたくさん集っていると、ある学者が発表したことがある。だから、その火星塵の、あつい層を下へつきぬけなければ、火星の表面は、はっきり見えないわけだ」
「火星塵の、あつい層ですか。地球にはないものが火星にはあるのですね」
「そうだ。地球と火星とは、形こそ似ているが、違うことはいろいろたくさんあるよ。ほら、あそこをごらん。火星のお月さまが見える」
「えっ、どこですか」
「あそこだ」
先生の指さすところをよく見ると、なるほど、月らしいものが浮いている。
「ああ、あれが火星の月か」
と言ったが、千二は、へんな顔をして、
「先生、あれはなんでしょうか。こっちの方からも、月のようなものが出て来ましたよ」