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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

と、左の方を指さした。

見たところ、ちゃんと月の形をしている。それが、はじめの月と反対の方向に、ぐんぐんとまわりだしたのである。

「ああ、あれも、火星の月だ。小さい方の月だ」

「えっ、小さい方の月? すると、火星には、大きい方の月もあるのですか」

千二は、ますます不思議そうな顔であった。

「そうなんだ、千二君。君は、火星に二つの月が、ついてまわっていることを、知らなかったのかねえ」

「二つの月ですって。お月さまは、一つだけのものだと思っていました。火星には、月が二つもあるのですか」

「そうだよ。小さい月がデイモス、大きい方の月がホボス、そういう名なんだ」

「へんな名前ですね。一度じゃあ、おぼえられないや」

と、千二は、首をふった。

「デイモスにホボスだよ」

「あっ、先生、こっちの大きいお月さまは早いですね。もう、あんなに動きましたよ」

「そうだ。ホボスの方は、たいへん早くまわるのだ。一日のうちに、火星のまわりを三回ぐらいまわるのだ。デイモスの方は、一日では火星のまわりを、まわりきらないのだ。三十時間しないと、一回分まわらないのだよ」

「火星って、実に不思議な国ですね。