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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「すぐ、おれはここへ帰って来る」

そう言置いて、丸木は千二をはなすと、すたすた歩き出した。

(どこへいくのだろう?)

千二は、その時ふといやな気持になった。丸木は、さっき見とれていた、あの洋装女から、金を借りるつもりではないかと思ったのである。だしぬけにそんなことを頼まれては、さぞかし女の人は驚くだろう。

千二は、たいへん心配になった。

「おうい、丸木さん」

千二は、じっとしていられなくなって、丸木の後を追いかけた。

だが、丸木の姿は、いつの間にか人込のなかに吸いこまれて、どこへいったのか、わからなくなった。それでも千二は、あっちへいったり、こっちへかえったり、いやな胸さわぎをおさえつつ、しきりに丸木の姿をさがしもとめたのだった。しかし、それは、遂にむだに終った。

千二は、またいつの間にか、元の所へもどって来た。

「おい、千二」

だしぬけに呼ばれて、千二はびっくりした。それは丸木だった。いつの間にか、丸木が帰って来ていたのだった。

「ああ、丸木さん。どうしたの」

「どうしたって、ふふふふ」と、丸木は、へんな笑い方をして、「お金はこんなにある。さあ、これを持っていって、あの薬屋で、ボロンの大壜を三本買ってくれ」