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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

そういうと、博士は、うしろの壁にかけてあった長さ一メートル半ほどの黒い管のようなものをとり、千二に見せた。

「これは何ですか。中に穴が通っていて、こっちの太い端には、ゴムの口あてのようなものがついていますね」

「わからないかね。君たちの得意なものだろうと思うが……」

「僕たちの得意なものですって。ははあ、そういえば、思い出した。これ、ふき矢をいれる管みたいですね」

「そうだ。あたったよ。そのとおりだ」

「博士、ふき矢をいれる管を、どうするのですか」

「やっぱり、ふき矢をいれて、ふくのだよ。火星人にあてるためだ」

千二は、なあんだという顔で、

「ふき矢ぐらいで、火星人がまいるかしらん。だいいち、遠くから攻めて来た時に、こっちは、ふき矢をふいたのでは、届かないじゃありませんか」

すると博士は、軽く笑って、

「千二君は、大事なことを忘れているよ。火星の上でふき矢をふくと、ずいぶん遠くまでいくのだ。地球の上で機関銃を撃った時よりも、もっと遠くまでいくのだ」

「そんなことはないでしょう。人間のいきは、そんなに強くありませんからね」

「わからん子供じゃなあ。千二、火星の上では重力が小さいのじゃ。