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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

明日にして下さい」

これを聞いて、丸木は、獣のようにおこりだした。

「おいおい、金を持って来れば、売ると言ったのに、それじゃあ話が違う。ぐずぐず言わないで、この戸をあけろ」

「そりゃ売ると言いましたが、今晩のうちに売るとは言わなかったですよ。商店法なんですから、なんといってもだめです」

「なにっ、どうしても売らないと言うのか。今になって売らないと言うなら、この戸を叩きこわして、はいるぞ」

「そんな乱暴なことをやっちゃ、だめですよ。しかしこの戸は、あなたのような乱暴な人をはいらせないために、かなり丈夫に出来ているんです。お気の毒さまですが、あなたの手が痛いだけですよ」

店員もなかなか負けていない。丸木は、それを聞くと、益々たけりだした。

「これだけ言っても、言うことをきかないなら、わしは、好きなとおりにやる。お前などを相手にせんぞ!」

そう言うと、丸木は二、三歩さがり、きっと戸をにらんだ。

驚いたことに、戸はめりめりと鳴った。今にもこわれそうだ。

丸木は、からだでもって、薬屋の戸にぶっつかる。

見ている千二は、びっくりした。

「丸木さん、およしなさい」

千二は、一生けんめい、丸木をとめにかかったが、丸木の耳には、もう千二の言葉などは、全く聞えないらしい。