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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「はて、丸木め。どこへ、はいってしまったのか」
と、蟻田博士は言いながら腰をたたいた。
こっちは、千二少年であった。
いつの間にか、ひとりぼっちになってしまった。
前面の森の入口には、十数名の火星兵がこっちをにらんでいたが、それも千二のもっているふき矢におそれをなしたものか、いつとはなしに、かずがへって、やがて一人残らず、どこかへ、すがたをかくしてしまった。
こうして、千二は全く、ひとりぼっちになってしまった。
「困ったなあ。火星の上で、まよい子になるなんて、いやなことだなあ」
地球の上のまよい子ならどうにかなるが、勝手もわからなければ、まるで生まれがちがう火星人国で、まよい子になってしまっては大困りだ。
「先生はどこへいったのかしら。それから博士も見えない」
千二は途方にくれてしまった。
これから、どうしようかと考えているところへ、ぱたぱたと足音のようなものを耳にした。
「だれ?」
千二がうしろをふりかえるのと、火星人の触手のようなものが、彼の腕にくるくるとまきつくのと同時であった。
「あっ」
千二は、おどろきのあまり立ちすくんだ。
彼をつかまえたのは、ほかのだれでもない。