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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「怪人、深夜の銀座をあらして逃走す。美人殺害、薬屋の店員はあやうく鬼手をのがれた。満都の市民よ、注意せよ」

この方の新聞記事は、かなり市民を驚かした。犯人が逃走したまま、まだつかまらないから、注意をするようにと書いたことが、市民の胸に、大きな不安を植えつけたのだった。

かわいそうなのは、千二少年だった。その前夜から、へんな目にあい通しであった。そのあげく、怪人丸木にこきつかわれ、共犯者ということになり、警視庁の留置場へ、放りこまれてしまったのである。

千二は、冷たい壁にとり囲まれた留置場に、しょんぼりと坐っていた。彼は悪い夢をまだ見つづけているような気がしていた。

千二は、警視庁の留置場へほうりこまれたのち、ほんのちょっと調べられただけで、あとはそのまま留置場の中に、忘れられたようにとめおかれた。

「うそをつくな。うそをついている間は、一カ月でも二カ月でも、ここへほうりこみっぱなしだ。一つ、よく考えなおしてみろ」

そういう言葉を、千二は、痛いほどつよく、小さい胸におぼえている。それは、取調が終って、再び留置場にほうり込まれる前に、掛官の大江山課長から、なげつけられた言葉だ。