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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

『火星兵団』を作れといっても、作れるわけのものじゃないし、ねえおとうさん、心配しないでいいよ」

「そうかい。そんならいいが……」

と、父親も、やっと安心の色を見せた。

だが、世の中は一寸先は闇である。思いがけないどんなことが、一寸先に、時間の来るのを待っているかも知れない。千二も父親も、まさかその夜のうちに、もう一度「火星兵団」のことを、深刻に思い出さねばならぬような大珍事に会おうとは、気がつかない。

その夜ふけに、千二は釣の道具を手にして、ただひとり家を出かけた。湖には、たいへんおいしい鰻がいる。千二は、その鰻をとるために出かけたのだった。

出かけるときに、柱時計は、もう十二時をまわっていた。

外は、まっくらだった。星一つ見えない闇夜だった。

だが、風は全くない。鰻をとるのには、もってこいの天候だった。

千二は、小さい懐中電灯で、道をてらしながら、湖の方へあるいていった。

「なんという暗い晩だろう。鼻をつままれてもわからない闇夜というのは、今夜のことだ」

でも、湖に近づくと、どういうわけか、水面がぼんやりと白く光ってみえた。

「こんな暗い晩には、きっとうんと獲物があるぞ。