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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
ほとんど足をふみこむすきもないほどである。垣などはこわれたままである。
蟻田博士の天文台のまわりを、新田先生は幾度か足を草にとられながら、廻ってみた。
もちろん、誰一人として、そこにひそんでいる者はなかったし、警官の姿も見えなかった。
新田先生は、天文台をひとまわりして、博士邸の表に出た。そうして、あらためて玄関をはいって、博士の姿を研究室に見出したのであった。
蟻田博士は、新田先生に言いつけた見張のことなどは、もうすっかり忘れてしまったかのように、室内の機械を調べるのに夢中であった。
壁の上に、ガラスにはいった自記機械があった。自記機械というのは、人が見ていなくても観測した結果が、長い巻紙の上に、インキでもって、曲線になって記録せられる機械である。例えば、室内の温度が一日のうちに、どう変ったかというようなことを知りたい時、人が寒暖計のそばにつききりで、一々水銀の高さを読んで記さなくとも、この自記機械にかけておくと、巻紙が廻るにつれ、ペンが長い曲線をかいて、室内温度がどう変ったか記してくれる。
蟻田博士は、この自記機械をあけ、中から巻紙をひっぱって、それを見るのに夢中になっている。