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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「博士。よく見廻りましたが、もうお屋敷のうちには、誰もいませんですから御安心なさいませ」
と、新田先生は、博士の後から、声をかけた。
ところが、蟻田博士は、それには、返事をしない。
そうして、なおも夢中になって、その自記機械から、巻紙様のものを長くひっぱり出して見ている。その目は異様な光をおびていた。
「博士。それは、何を自記する機械ですか」
新田先生は、博士の後に近づいた。
博士は、新田先生に声をかけられ、びっくりしたようであった。
「誰かっ?」
と、けわしい目で振返って見て、そこに新田先生が立っているのを見ると、
「なんだ、お前か」
「先生。お屋敷の内には、ほかに、もう誰もいないようでございますよ」
「そうか。だが、油断は出来ないぞ。もし誰かの姿を見つけたら、すぐわしに知らせるのだぞ」
そう言いながらも、博士は長い巻紙を手に取って、自記曲線を見入っている。
「博士。それは何を測ったものなんですか」
新田先生は、再び同じことを蟻田博士に尋ねた。
「これか」
と、博士は、巻紙のような記録紙の上をぽんと手で叩いて、
「わしが留守にしている間に、大変な異常現象が起っていたんだ」