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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
買うのが腹立たしいような本というものがあるのは奇妙至極なことね。私は寿江子のをまわさせました。
いろんな妙てこりんなものをよまねばならず。これも修業の一つかしら。私のこの頃の読書の範囲を考えて、何ていろいろと思いました。どんな知識も有益です。大衆文学性を打破するための本当の知識などは、大いに私を愉快にしますし、自分の常識のあいまいさをも痛感します。常識の誤りに逆手をとられるというようなのは真平ね。御同感でしょう? そして、私は私らしくクスリとするの、私の読書力は、何とリアリスティックだろうと。(云いかえれば、そうね、はっきりしているだろうか、と)分りたいと思うと、分りそうもないものも分るのですもの。何と可笑しいでしょう。私の語学のように、これも気合の一種でしょうか。
ああそれから、私はいつかアイヌのことについて、手紙の中にかきましたろうか。十九か二十のとき北海道へ長くいて、アイヌ村に暮したりして、アイヌをかきたいと思って勉強したこと、まだ私には荷にあまっていた(かんどころは今も同一ですが、分析や展開が)ので、一章だけロマンティックにかき出して、旅行のためそれなりになってしまっていたのを、この間ふと思い出して、これからならかけると面白く思ったこと、まだ書きませんでしたろうか? 長篇のこといろいろ考えていて