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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
それを考えたのです。いつか長いものに書こうとたのしみです。非常にいろいろ面白いのです。一人の女のひと(アイヌのひと)が中心でね。ロンドンのことや何かまで出るのです。その女のひとの見た世界として。ヴィクトーリア式女のイギリスを、このアイヌの娘が見て、いろいろの感じ、いろいろの受けかた、その適応の型、いろいろ大変面白いのです。溢れるような曠野の血が一方に流れて居り、一方に無限の悲哀があり、最も消極な形でのスケールの大さをもっている女の一の心です。
それからもう一つ、お座りのとき、竹越の『日本経済史』をよんで面白く思った、お菊という女。これは淀君の仕女ですが、当時のいろいろのそういう女の境遇をよく語っていて、面白いの、たとえば、非常に乏しい着類とか。ああいう色彩のバックにどうしてかこの女の名が出ていて、随分面白い。これは西村真次という人の随筆めいた本の中にも目次に出ていて。いつかやっぱりかいて見たいと思います。調べて。
それからもう一つ。これは大名の妻。大した美人。だもんだから、父親が政略的にあっちこっち嫁にやっては、あとでその良人――婿と戦って、敗北させて、娘をとり戻す。