輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁
が、顔を出して、男衆に、何かささやく。
男衆が、雪之丞に、
「今夜、さじきにお見えになっている土部さまから、はねてから、柳ばしの川長で、一献さし上げたいというおはなしだそうですが――」
「え! 土部さまから――」
雪之丞は、刷毛を持っていた手を止めて、相手をじろりとみつめた。
「へえ、例の三斎の御隠居さまが、大そうお讃めになっていらっしゃるそうで――何分、お客さますじがお客さまのすじですから、ほんのちょいとでもお伺いになった方が、よろしかろうと思いますので――へえ」
この瞬間ほど、美しい女がたの面上に、複雑な表情がうかんだことはなかったであろう――
彼は、自分を取りまいて、まるで酔ったように化粧ぶりを眺めている贔屓の客たちを忘れてしまったように、じっと唇を噛み締めて、空をみつめるようにしたが、やがて、決心がついたように――
「ようございます。かたじけなく、お言葉にしたがいましょう――と、土部さま御一同に申し上げて下さるよう――」
「かしこまりました。さぞ、さきさまもおよろこびなさるでございましょう」
雪之丞は、しずかにふたたび鏡にむかった。
彼はだが、もう、さき程のように殺気をあらわしてはいなかった。