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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁
九
「ほ、ほ、ほ!」
と、お初は突然、すさまじい声で笑った。
「ま! 本気そうな顔をして――ほかの人なら、その一刻のがれもいいだろうが、このあたしにゃあ通らないよ、なぜと言って、お前は三斎の娘御の、お局さまを、どん底までたらし込んでいるというではないか――見通しの、あたしの目を、めくらにして貰いますまい――」
ちょっと、指で、雪之丞の口元を突くようにして、
「まあ、こんな、可愛らしい口付をして、何という嘘ばっかり――」
と、笑ったが、急に、頬を硬ばらせて、
「太夫、用心して口をおききなさいよ――相手が、ちっとばかし変っているのですからね――そして、そういっては何だけれど、あたしの口ひとつで、お前の望みがけし飛ぶのはおろか、いのちさえあぶないのだ」
九
この女、捨鉢に、どこまでも追い詰めて来る気じゃな?
雪之丞は、浅間しいものに思って、ゾッと寒気さえ感じたが、お初の方では、相手の気持の忖度なぞは少しもしなかった。
見れば見るほど美しいし、こちらの身分を知って、厭気を露骨に見せているのを見ると、ねじくれた恋ごころが、却ってパアッと煽り立てられて来る。
「ねえ、太夫、あたしを、清姫にならせずに置いておくんなさいよ――あたしは自分で自分をどうすることも出来ないように、いつの間にか成ってしまっているのです。