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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁
闇太郎懺悔
一
浪路の、しおれた風情に、サーッと活気がよみがえる。
雪之丞は、元より渡りに船――一度は、三斎住居の模様をも、十分に見きわめて置き度いのだ。
「お言葉までもござりませぬ。お門までは是非お送りさせていただきまする」
「門までといわず、ゆるりとお邪魔いたして、かさねて上方の話でも申上げるがよい。御隠居さま、そなたが、大そう気に入られたようじゃ」
浪路の挙動は、急に生き生きしくなるのだった。
闇太郎懺悔
一
冷え冷えと、胸の底に沁み入るような、晩秋の夜風が、しゅうしゅうと吹き抜いている、夜更けの町を、吉原冠り、みじん柄の素袷、素足に麻裏を突っかけた若い男、弥蔵をこしらえて、意気なこえで、
道のちまたの
二もと柳
風にふかれて
どちらへなびこ
思うとのごの
かたへなびこぞ
なぞと、菅垣を鼻うたにしながら、やって来たが、これが、常夜灯のおぼろかな光りに、横がおを照されたところで見ると、まぎれもない、大賊闇太郎だ。
江戸中の、目明し、岡ッ引き、この男一人を捕るために、夜に日を次いで狂奔しているにも拘らず、どこに風がふくかと、相変らずの夜あるきをつづけている彼、しかも、爪先を向けているのが、ついこないだ、門倉平馬に連れられて無理に引き込まれた、松枝町、土部三斎屋敷の方角だった。