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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁
四
その方に師範代などと言う名義を与えたこともない。単に、居つきの古い弟子故、門弟一同の方から、その方を立てているまでだ。と、申すは何も、その方を、蔑んだり、その方の剣技を認めぬと言うわけではない。わしはわしの流儀で、人間を縛るのが厭だからだ。いつも申す通り、業も一代、人も一代、いかにその方が、わしの流儀を尊んでくれたればとて、わしとて、剣の神ではない。その方自身の悟入の結果、わしの流儀に反対な、説を立てねばならぬことにならぬと、誰に言えよう? そうしたわしの心構えを、満更知らぬその方でもあるまいに――」
「それは十分呑み込んでおりまするが、それなれば何故、これなる俳優に、事々しゅう、秘巻伝授などと言う事を、仰せられましたか?」
平馬は相変らず、滂沱たる目で、師匠を見詰めつづける。
「方便だ」
と、一松斎は、強くいった。
「雪之丞は、一方ならぬ大事の瀬戸際、これまで不言不説のうちに過ごしたことを、きっぱり、思い知らせつかわそうとしたまでだ」
「然らば拙者にも、恩師御覚悟の御精髄を、改めてお示し下さるよう――」
平馬は、どこまでも退かなかった。
四
門倉平馬が、面色を変じて、強請をつづけるのを眺めて、一松斎は、別に怒るでもなく、