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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁
三
乗物の脇に引き添って、
「かごの衆、おまち兼ねだから、いそいでくれよ」
「合点だ」
雪之丞は、かごに揺られながら、今夜、広海屋がどんな土産話を聴かせるであろうかを、楽しんでいる。
彼の想像では、広海屋は、あのように、きっぱりと長崎屋と手切れをした以上は、思い切って圧迫を加えたであろうし、長崎屋は長崎屋で、自棄になって、どんな非常手段でも取って、対抗しようとするであろう――
――現に、江戸の、お米の値段は、このごろめっきり下ったそうな――長崎屋一味の店前に、石つぶてを投げる者さえあるというはなし――長崎屋も、黙ってはいまい。あの長虫のような執拗さで、広海屋に噛みついてゆくであろうが、それを相手がどう受けるか――
二頭の猛獣が、四ツに組んでお互のからだに牙を突き入れたときこそ、雪之丞が、今度こそ秘めた破邪の剣を下すべきときなのだ。
――一あし一あし、わしは目あてに近づいてゆく。
はっきりと、勝利を予想して、彼の胸は躍るのだ。
そうしたことを考えている間に、かごは、どこまで来たであろうか? もう大分、長いこと乗っているのに、柳ばしに着いた容子もない。
ふと、気がつくと、かごかきの足音が違っている。