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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁
一一
はしッこい奴なら、利得で、手なずけることも出来るが――
五助は、こんな風に考えて、急に闇の中で恐ろしい表情になった。
一一
ギラギラと、すさまじく、瞳をきらめかした、横山五助、にわかに棒立ちに突っ立って、唇を噛むと、上目を使うようにして、甚太郎をみつめたが、皺枯れた調子で、
「甚太郎、ちと話があるが、あの物蔭まで――」
顎で、指したあたりに、茅萱が小径の方へ、枯れながらなびいていた。
甚太郎は、
「へい」
と、腰をかがめる。
びくびくと、只、恐縮し切っていた彼、頼むようにいわれて、ホッとしたらしい。
「甚太郎に、ちと、命じることがあって、あれにて、談合いたしますが、お逃げになろうとしても無駄でござるぞ」
ジロリと、一瞥を、浪路に呉れて、先きに立つ五助。しおしおと、甚太郎が、ついて行く。
浪路は、何を、横山は、甚太郎に話し込もうとするのであろう? ――が、事実、逃げても駄目だ。男の足には、すぐに追いつかれる――それよりも、言うままに、待っていて、あとで、泣きついて見よう。あの男に、腹立たせてしまっては、大変だ――そんな風に思って、よんどころなしに、寒々と、肩をせばめてたたずむのだ。