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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁

青空文庫

一松斎は、敷居外にひれ伏した雪之丞を、眺めると、微笑を含んで、

「そなたが、江戸に下られた噂は、瓦版でも読んでいた。いやもう、大変な評判で、嬉しく思う。さあこれへ進まれるがよい」

雪之丞は、燭台の光に、半面を照されている旧師の顔を、なつかし気に仰いで、一礼すると、机の前ににじり寄った。

「一別以来、もう四年だ。日頃から、逢いとう思っていたが――」

「わたくしも、先生のお姿を一日とて、思い浮べ上げぬことはござりませんでしたが――。でも、今度は滞りなく江戸下りが出来まして、お目にかかられ、かように嬉しいことはござりませぬ。それに、ただ今道すがら、八幡さまにお詣りいたしますと、孤軒老師にはからず御対面。文武の両師にいちどきにお目にかかれましたも、神さまのお引き合せと、嬉しゅうてなりませぬ」

「ほお、孤軒先生に?」

と、一松斎はいくらか、吃驚したように、

「それは珍しい。かのお方も、御出府なされていようとは、存じよらなかった」

「何しろ八幡さま御境内で、売卜をなされておりますようで、すっかり、驚かされてしまいました」

「相変らず、意表に出でた暮しをなされているな!」