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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁
お初は、解せぬらしくつぶやいて、美しい、切れの長い目を、きらりとさせて、
「親分、何か、間違いじゃあありませんか? わたしは、今のところ、別に大きな仕事ももくろんではいませんが――」
と、言って、ニタリと、異様に微笑して、
「実はねえ、親分さん、お初もこれで、やっぱし女で、柄にもなく優しい苦労をおぼえて、いまのところ、渡世の方に御無沙汰さ」
闇太郎は、そういうお初の、淫らな、あでやかな笑いを見ると、あやしい悪寒のようなものを覚えた。
――なるほど、この女、無宙になっていやあがる。とりみだしていやあがる――おれほどの男の前で、ぬけぬけと、心の秘密をのろけるまで、魂をぶち込んでいやあがる――雪之丞が、震え上るのも無理はねえ――
「姐御、お前の、そのやさしい苦労というのが、どんなものか知れねえが、ぶちまけて言えば、おれの知っているある他所のものが、大きな望みを持って、この江戸に足をふんごみ、いのちがけで大願を成就させようとあせっているのさ。ところが、ある人の耳に、誰にも知られてはならねえ大望が洩れて、敵方に、それが筒抜けになりそうになり、今のところ、大迷惑さ。