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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁
「は、は、は、は、人間も下ると怖いものだのう――同業切っての凄腕と言われた長崎屋、あの血迷い方は何としたものじゃ」
雪之丞は、わが身の科がおそろしいというように――
「こうしたことになると知りましたら、いつぞやのようなこと、申し上げはしませなんだに――」
「いやいや、そなたに何のかかわりもない。みんな商売道の戦いじゃ」
広海屋は、得意満面で、
「もう決して気に病まぬがよい。一たいに、あの長崎屋、功をあせって、一の力で二の働きをしようとのみもがき、おとなしく本業をいとなむことを忘れ、米あきないなぞという、大きな資本がなければ叶わぬことに手を出したが、あやまりじゃ。その上、今度の、米価の釣り上げでは、お上はもとより、御府内の人々のいかりを買っておるゆえ、今夜にも明日にも、店をこわされ、むごい目に逢うかも知れぬ――そんなこんなで、あのように、気も狂わんばかりあがきおるが、それも身から出た錆――せん方もあるまい」
雪之丞は、その時、不思議な衝動に駆られて、じっと、広海屋をみつめて、しかし、さり気なく――
「それにしても、何やら、長崎以来のことを、とやこうと、あのお人はおいいなされましたが、あなたさまに、御迷惑のかかるようなことがありましては――」