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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁

青空文庫

――ともかくも、返じだけは書かずばなるまい――もう、二度と、逢う要のないお人ではあるが――

と、思ったが、その返じを書くことさえ、この場合、つつしまねばならぬと、すぐに反省するのだった。

――いやいやどこまでも、今後は、かかわりをつけてはならぬ――恨まれ、呪われるのは、はじめから覚悟の上じゃ。

雪之丞は、使いの男の前で、文を読んでしまうと、巻きおさめながら、いぶかしげな表情をうかべて見せて、

「これは、どなたよりのお文かは、存じませねど、わたくしには、のみこめぬことばかりでござります。どうやら、ゆきちがいがありますような――」

「はて、わたくしは、雪之丞さまにこのお文をおわたし申し、なるべくは、御一緒に、おともない申すようにとの、おたのみをうけてまいったものでござりますが――わたくしは、あのお方の、乳母の伜にあたるものでござりまして――」

実直そうな男は、もぞもぞと、そんなことをいったが、雪之丞は、首をふるようにして、

「さ、それが、わたくしには、何が何やらわかりかねますので――このお文は、どうぞこのまま、お持ちかえりを――今宵はひどくくたびれておりますほどに、失礼をいたします――これは、おかご代」