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ゆきのじょうへんげ
雪之丞変化
三上 於菟吉
線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁
わたくしが、好きでえらんだなりわい、どなたが、何とおっしゃっても、止めるわけにはゆきかねます。むずかしいことは存じませぬが、古から、匹夫も、こころざしは奪うべからず――とか、ほ、ほ、ほ、生意気なことと、お笑いなされましょうが、わたしが、役者が、やめられぬのは、あなたさまが、お武家がおやめになれぬのと、同じわけ――」
「なに、何と申す? では、拙者の剣法を、貴さま自身にひきくらべて、匹夫のこころざし――と申すのか! おのれ、無礼な!」
平馬、相手が、おどしに乗らぬので、業を煮やして、いら立って来た。
「ま、お腹立ちなされますな、ただ、たとえでございますよ」
「こりゃ、おのおの」
と、おのが武威を穢されでもしたように、怺え性をなくして、平馬は叫んだ。
「むかしのよしみにて、おのおのから、いのち乞いをしてつかわそうと、これまで申すに、重ね重ね雑言を吐く奴――もはや、止めませぬ。さ、御存分に、撲って、蹴って、最後は、膾にしておやり下さい」
雪之丞は、いっそのこと、早く始末をつけてしまいたいのだ。宿には、闇太郎を待たせてあるし、用をすまして眠りたい。
――揃っておいでなさい。