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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁

青空文庫

たあとの瘤、あそこへ中て見ましょうね――」

雪之丞はじめ、平馬も、手負いも、お初の能弁に魅されたように目をみはって、じっと、手元と的を見比べる。

お初は、小さな武器を、掌に躍らすようにして、持ち直すと、裾を乱し、緋いいろをこぼして佇んだまま、片肌ぬぎの無造作さで、短銃を掴んだ手を、前に出して、片目を押さえて、狙いをつける。

「いいかい? 射って見せますよ」

たのしげにいって、曳金にかけた細い指に、かそかに力を加える。

と、だしぬけに、

――ズーン――

と、いう、あまり高からぬ、が不気味なひびき――銃口から赤い火がパッとほとばしって、青白い煙が交ったと思ったが、的に集まった、目という目が、一どきに驚愕の色を漲らした。

薄暗さの中にかすかに見える、木瘤、小さな瘤の真ン中に、たしかにプスリと弾丸が突き刺さったのだ。

一六

「ね、どう? ちょいと、あざやかな技倆でしょう? 門倉さん、それからみなさん方――」

と、お初は、得意げに笑って、

「ことさら、雪さん、この隠し芸には、幾らかびっくりしたでしょうね? どう?」

と、いったときいつか、彼女は短銃を、じーっと雪之丞その人に狙いをつけているのだった。