輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁

青空文庫

じっと、いつまでも、聴きすます、雪之丞――

と、かなり長い時が経って、一たい、どうしてしまったかと、心にいぶかしみが湧き出したころ、だしぬけに、奥の方で――

「火事だあ!」

と、いう、叫び!

「火事だあ! 起きろ!」

と、けわしい声が、つづいて起って、急に、しいんとしたしずけさが、一どきに破れたと思うと、まだ、火は見えぬが、物の爆ぜ焼けるひびきが、ピチピチ、ギシギシと、いうように、雪之丞の耳を掠めた。

――点けたな! 火を!

「油樽に気をつけろ! 油樽に燃えつきそうだ」

と、あわただしい声々。

広海屋は、その頃、紅毛油を盛んに売り出していた。橄欖という果の実、木の皮をしぼって作ったという、香いのよい、味のいい、すばらしい油――富みたるものは、それを皮膚のくすりとして塗りもすれば、料理にも使って、こよない自慢にしているのだ。

その貴重な油樽が、見世奥に積んであったのへ、長崎屋、いみじくも、火を点したものと見えた。

たちまち、ズーンという、樽の爆ける音。もう、駄目だ! ぼうぼうと激しい炎が唸りを立てて、猛火が、家内を一ぱいにきらめかすのが見えるのだった。