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ゆきのじょうへんげ

雪之丞変化

三上 於菟吉

線上閱讀三上 於菟吉《雪之丞変化(ゆきのじょうへんげ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 344,083 字 · 673 頁

青空文庫

「は、は、は、何とまあ、二人とも、いさましいことのう――たがいに、咽喉をつかみしめた手先をばはなすまいぞ――ぐっと、ぐっと、絞めるがよい――おお、いさましいのう――」

と、言ったが、

「この松浦屋を、くるしめた人々の中で、端役をつとめた浜川どの、横山どのは、めいめいに、楽々と、もはやこの世をいとま乞いして、地獄の旅をつづけておいでじゃぞ――それに比べて、これまで生きのこった二人、さ、もっと、もっと、苦しめ合い、憎み合い、浅間しさの限りをつくすがよい。ほ、ほ、ほ、まあ、何と、江戸名うての、広海屋、長崎屋――二軒の旦那衆が、狂犬のようなつかみあい、食いつき合い――おもしろいのう! いさましいのう! ほ、ほ、ほ、ほ!」

のぞいている闇太郎、身の毛がよだって、背すじが寒くなった。

二五

全く、おぼろかな金網行灯の光りに、朦朧と照された中で、二匹の夜の獣のようなものが、互に、両手で首を絞め合って、歯を剥き出し、うめき立てている、その有様ほど凄惨なものはなかった。

闇太郎ほどの、大胆もの、それさえ顔をそむけずにはいられないのに、二人の争闘を、じっと見おろしながら、さもこころよげに、笑いつづけている、この黒い影は何ものだろう?