Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こどもふどき

こども風土記・母の手毬歌

柳田 国男

Lesen Sie こども風土記・母の手毬歌 (こどもふどき) von 柳田 国男 (やなぎたくにお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 142.761 Zeichen · 278 Bildschirme

Aozora Bunko

たぶんは聴く者にはっきりとひびくように、また話を長くおもしろくするために、裏と表と両面から、ていねいに説く習わしがあったのであろう。そうしてこの民間の親棄山においても、やはり棄てられた老女のふしぎな幸福を語るために、こんなありそうにもない悪い女房を、引っぱってくる必要があったものかと思う。

この話は今のところ、わたしの知っているのが五つか六つあるが、土地によって話し方がすこしずつちがっている。しかしだいたいは皆おなじ結果で、老母は常日ごろ心掛けのよい人だったゆえに、山の神さまのめぐみを受け、またはふしぎの幸運によって、思うことのなんでもかなう打出小槌という宝物を手に入れる。それで地をたたいて、まず食べ物や着物を打ち出し、つぎに自分が若くまた美しくなり、それからその山中を大きな町にして、りっぱな家をその中央に出現させて、店を開いたともいえば、酒屋になったともいっている。悪い女房はその噂を聴いて、うらやましくてたまらなかった。それでこんどは男にたのんで、自分を山のなかに棄てさせたが、あてにしていた宝物は手に入らず、ひどい難儀をして死んでしまったという話で、もちろんわが心なぐさめかねつというような、あわれな三十一文字などは残ってもいないのであった。