Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
三番目のは妾である。
妾の名は、貂蝉という。
貂蝉といえば、彼が、まだ長安にいた頃、熱烈な恋をよせ、恋のため、董相国に反いて、遂に、時の政権をくつがえしたあの大乱の口火となった一女性であるが――その貂蝉はまだ彼の秘室に生きていたのだろうか。
「貂蝉よ、貂蝉よ」
彼は今も、よくそこの閨園では呼んでいる。だが、その後、彼にかしずいている貂蝉は、かの王允の養女であった薄命な貂蝉とは、名こそ同じだが、別人であった。
どこか、似てはいる。
しかし、年もちがう、気だてもちがう。
呂布も、煩悩児であった。
長安大乱のなかで死んだ貂蝉があきらめきれなかった。それ故、諸州にわたって、貂蝉に似た女性をさがし、ようやくその面影をどこかしのべる女を得て、
「貂蝉、貂蝉」と、呼んでいるのだった。
その貂蝉にも、子はなかったので、子供といっては、厳氏の腹から生れた娘があるだけである。
煩悩な父親は、その愛娘へも、人なみ以上な鍾愛をかけている。――子の幸福を、自分の行く末以上に案じている。
「どうだね?」
袁術からの縁談には、彼はほとほと迷っていた。
男親は、あまりに、多方面から考えすぎる。