Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
二
「見張りの者の怠りから大失態を演じました。申しわけもございません」
と、懲罰に処した樹上の士卒が、いつの間にか逃走した由を、平蜘蛛のようになって慄えながら告げた。
「知っとる知っとる。将として、それくらいなこと、知らんでどうする。……あはははは、それでいいのだ」
彼は、大杯をあげて、自ら祝すように飲み干し、幕営を出て、星を仰いだ。
「そろそろ二更の頃だな。――わが三千の兵は三分して各自の行動に移れ。――その一は、間道をしのび、その一は、山を越え、その一は、止まって敵の前面へ向う」
張飛の命令が伝わると、やがて夜靄のなかに、まず二千の兵が先に、どこかへうごいて行った。
それは、敵の防寨の背後へまわって忍ぶ潜兵らしかった。
「まだちと早い。もう一杯飲んでからでいい」
張飛は、残る三分の一の兵をそこに止めて、なお一刻ほど、酒壺を離さず、時おり、星の移行を測っていた。
その宵。
劉岱の防寨のほうでは、早くも、今夜敵の張飛が夜討ちをかけてくるということを知って、ひどく緊張していた。
「あわてるな。敵の脱走兵の訴えとて、めったに信じるとは危険だ。おれ自身、その兵を取調べてみよう。