Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
玄徳冀州へ奔る
一
彼は明らかに周章していた。
「家兄。そうふさいでいては、名智も策も出やしません。味方の士気にも影響する。同じ戦うなら、もっと陽気にやろうじゃありませんか」
「お、張飛か。そちのことばももっともだが、いかんせんこの小城、敵は二十万と聞えている」
「二十万だろうが、百万だろうが、憂いとするには足りません。なぜならば、曹操は短気なので兵馬はみな許都からの長途を、休むひまなく馳け下ってきたにちがいありません。陣地に着いても四、五日ほどは、疲労しきっていて物の用に立ちますまい」
「――が、いずれ敵は、長陣を覚悟のうえで、十重二十重にこの城をとり巻こう」
「ですから、その用意の調わぬうち――また長途のつかれも癒えぬうちに――それがしが部下の猛卒をひッさげて奇襲を行い、まず敵の出鼻に、大打撃を加え、しかるのち下城の関羽と掎角の形をとって、一縮一伸、呼応して敵に変化のいとまなからしめる時は、彼の大軍は、かえって、彼の弱点となり、やがて破綻を来たすことは明らかではありませんか」
張飛の言を聞いているとまったく陽気になってくる。彼は憂鬱を知らない男だし、玄徳はあまりに石橋をたたいて渡る主義で、憂いが多すぎる。