Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
二
吉平は大地に坐り直し禁門のほうに向って両手をつかえた。そして流涕滂沱、再拝して後いった。
「――臣、不幸にしてここに終る。実に、極まりもございませんが、天運なんぞ悪逆に敗れん。鬼となっても禁門を守護しておりますれば、時いたる日を御心ひろくお待ちあそばすように」
曹操は雷火のように立ち上がって、
「斬れッ!」
と、どなったが、兵の跳びかかる剣風も遅しとばかり吉平はわれと吾が頭を、階の角にたたきつけて死んでしまった。
二
凄愴の気はあたりをつつむ。
その凄気を圧して、
「次に、慶童をひき出せっ」と、曹操の叱咤はいよいよ烈しい。一片の情、一滴の涙も知らぬような面は、閻王を偲ばしめるものがあった。
呼びだした慶童を突きあわせて、董承の吟味にかかる段となると、彼の姿は、火か人か、猛言辛辣、彼の部下すら、正視していられないほどだった。
董承も初めのうちは、
「知らぬ、存ぜぬ。いっこう覚えもないことじゃ。何とてわしを、さように嫌疑したもうか」と、あくまで彼の厳問を拒否していたが、なにしろ召使いの慶童が、傍からいろいろな事実をあげて、曹操の調べにうごかぬ証拠を提供するので、にわかに、云いぬけることばを失って、がばと床にうっ伏してしまった。