Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
燈花占
一
いよいよ誓って、彼の勲功を帝に奏し、わざわざ朝廷の鋳工に封侯の印を鋳させた。
それが出来上ると、彼は張遼を使いとして、特に、関羽の手許へ持たせてやった。
「……これを、それがしに賜わるのですか」
関羽は一応、恩誼を謝したが、受けるともなく、印面の文を見ていた。
寿亭侯之印
と、ある。
すなわち寿亭侯に封ずという辞令である。
「お返しいたそう。お持ち帰りください」
「お受けにならんのか」
「芳誼はかたじけのうござるが」
「どうして?」
「ともあれ、これは……」
なんと説いても、関羽は受け取らない。張遼はぜひなく持ち帰って、ありのまま復命した。
曹操は、考えこんでいたが、
「印を見ぬうちに断ったか。印文を見てから辞退したのか」
「見ておりました。印の五文字をじっと……」
「では、予のあやまりであった」
曹操は、何か気づいたらしく、早速、鋳工を呼んで、印を改鋳させた。
改めてできてきた印面には、漢の一字がふえていた。
――漢寿亭侯之印――と六文字になっていた。
ふたたびそれを張遼に持たせてやると、関羽は見て、呵々と笑った。
「丞相は実によくそれがしの心事を知っておられる。