Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
空腹・満腹
一
睡眠不足になった袁術皇帝をかこんで、きょうも諸大将は陰々滅々たる会議に暮らしていたが、時に、楊大将がいった。
「陛下。もういけません。寿春に固執して、ここを守ろうとすれば、自滅あるのみです。おそれながら、かくなる上は、御林の護衛軍をひきいて、一時淮水を渡られ、ほかへお遷りあって、自然の変移をお待ちあるしかございますまい」
空腹・満腹
一
――一時、この寿春を捨て、本城をほかへ遷されては。
と、いう楊大将の意見は、たとえ暫定的なものにせよ、ひどく悲観的であるが、袁術皇帝をはじめ、諸大将、誰あって、
「それは余りにも、消極策すぎはしないか」と、反対する者もなかった。
それには理由がある。
誰も口にはしないが、実をいえば、内部的に大きな弱点があることを、誰も知悉しているからだった。
というのは、この年、寿春地方は、水害がつづいて、五穀熟せず、病人病馬は続出し、冬期の兵糧もはなはだ心もとなかった。
ところへ、この兵革をうけたので、それも士気の振わない一因だった。――で、楊大将の考えとしては、皇帝の眷族と、本軍の大部分を水害地区の外にうつし、ひとつに兵糧持久の策とし、二つには目前の敵の鋭気を避け、遠征軍には苦手な冬季を越える覚悟で、時々奇襲戦術をもって酬い、おもむろに事態の変化を待とうというのである。