Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
二
途中揚子江の大江はあるし、護送には、おびただしい兵馬も要る。
とやかくと、日数はかかった。――そのあいだにも、曹操の陣中では、いよいよ兵糧総官の王垢も悲鳴をあげだしていた。
「丞相。――申しあげます」
「なんだ、王垢と任峻ではないか。両名とも元気のない顔をそろえて何事だ」
任峻は、倉奉行である。
王垢と共に、曹操のまえへ出て、遂に、窮状を訴えた。
「もはや、兵の糧は、つづきません、幾日分もございません」
「それがどうした?」
曹操は、わざと、そううそぶいて云い放った。
「予に相談してどうなるか。予は倉奉行でもないし、兵糧総官でもないぞ」
「はっ……」
「辞めてしまえっ。左様なことぐらいでいちいち予に相談しなければ職が勤まらぬほどなら」
「はいっ」
「――が、こんどだけは、智恵をさずけてやろう。今日から、糧米を兵へ配る桝をかえるがいい。小桝を使うのだ小桝を。――さすればだいぶ違うだろう」
「桝目を減じれば大へん違ってまいります」
「そういたせ」
「はっ」
二人は倉皇と退がって、直ちにその日の夕方から、小桝を用いはじめた。
一人五合ずつの割りあてが、一合五勺減りの小桝となった。