Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
「ここは風雅だろう、君」
「なるほどよい場所です」
「観梅の季節には、よくここで宴をひらく。野趣があって甚だいい。きょうもかたい礼儀はやめて、くつろごうではないか」
「結構です」
「途々、当今の英雄についてだいぶしゃべってきたが、予にはまだ書生論を闘わした時代の書生気分が抜けていないのか、談論風発は甚だ好むところだ。きょうはひとつ、大いに語ろう」
彼は胸襟をひらいて、赤裸の自己を見せるつもりでいう。
いかにも自然児らしく、今なお洛陽の一寒生らしくも見える。
だが、そのどこまでが、ほんとうの曹操か。
玄徳は、彼の調子にのって、自分の帯紐をといてしまうような風は容易に示さない。
玄徳が、曹操の程度に自己を脱いで見せれば、それはすっかり自己の全部を露呈してしまうからともいえよう。――玄徳は自分をつつむのに細心で周到であった。いや臆病なほどですらある。
よく取れば、それは玄徳が人間の本性をふかく観つめ、自己の短所によく慎み、あくまで他人との融和に気をつけている温容とも心がけともいえるが、悪く解すれば、容易に他人に肚をのぞかせない二重底、三重底の要心ぶかい性格の人ともいえる。