Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(三)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(三) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 312.452 Zeichen · 628 Bildschirme
或いは、そのまま家へ帰って、逃げかくれてしまいはせぬかと、二、三の兵があとを尾けて行ったが、そうでもなく、驢背の姿は、急ぎもせず、怠りもせず、黙々と、荊州の方角へ向って行った。
日ならずして、禰衡は、荊州の府に着いた。
劉表は、旧知なのでさっそく会うことは会ったが、内心、
(うるさい奴が来たものだ)と、いう顔つきである。
禰衡の怪舌は、ここでも控え目になどしていないから、使者の格で来た手前、大いに劉表の徳を称しはしたが、一面またすぐ毒舌のほうで相殺してしまうから何にもならなかった。
劉表はこころに彼を嫌い、うるさがっていたので、態よく、江夏の城へ向けてしまった。
江夏には、臣下の黄祖が守っている。黄祖と禰衡とは、以前、交際があったので、
「彼も会いたがっているし、江夏は風景もよく、酒もうまいから、数日遊んでおいでなさい」
と、態よく追い払ったのである。
その後で、ある人が、劉表に向って、不審をただした。
「禰衡の滞城中、おそばで伺っておると、実に無遠慮な――というよりも言語道断な奇舌をもてあそんで、あなたを罵り辱めておったが、なぜあなたは彼を殺しもせず、江夏へやってしまったのですか」